短編拳銃活劇単行本vol.1

□濡れそぼったリンクス
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 今時珍しく、髪を染料で染めていない、華奢なボディをした十七歳の女の子。寝癖なのか曲毛なのか?ややボリュームの有るショートヘアーは丁寧に櫛を通そうともしていない。


 一見するとスレンダーな体躯。併し乍ら、裾の長い夏物の水色のジャケットやベージュのスラックスを剥ぎ取ると156cmの躰に肉欲的なフェロモンを詰め込んだ玉肌がスラリと表れる。
 野生動物の如く例えても陳腐に思える程、靭やかな筋肉が全身を躍動する。瑞々しく若々しい発条は合理的に無闇なトレーニングで鍛えた筋肉ではなく、『実戦』で鍛えた無理の無い、一片の贅肉の存在も許さない崇高な気高さを静かに誇示している。
 何よりも彼女が異性を強烈に惹きつける最大の要因は、凶暴な3サイズが日本人離れして存在しているからだろう。


 92(G)・57・88。
 「たったこれだけの数値」と侮る事無かれ。
 初潮を過ぎた辺りから発育の一途を辿る胸は日本人には有り得ないシェイプを形成しつつある。独立した生体器官の様に一挙一動の度に自在に揺れては軽く拉げるロケット型の乳房はフェチでなくとも生で拝んでみたいと云う異性達の欲求を掻き立てた。


 全身の筋肉を引き締める要であるが故にバランス良く引き締まったウエスト。そしてそれの下に繋がるのは、なだらかな稜線を描いて水密桃の様な丸みを帯びたヒップ。まだまだ成長途中の素晴らしいラインは臀の完成度を淫らに邪推させた。


 人智を超えた存在に与えられた素質を「己の力」で鍛え上げた彼女の風貌は一言で言うと「野良猫」だった。
 若しくは「近所の悪ガキ」にも似たあどけなさを醸し出すやんちゃな面構え。だが、凛と引き締まった精悍な顔の造りは人懐っこい笑顔の美少女を創り上げていた。
 すうっと引いた様な眉。
 その下の切れ長の双眸は生気と覇気を湛えた精を放ち、彫りの深い秀麗な鼻筋は顔の構築物全てを引き締めた。化粧も何も施されてはいないが、桜色の可憐な唇は小さく横一文字に閉じ、まるで彼女の意志の強さを代弁している様だった。




 そんな将来有望な美少女の名は氷室神綱(ひむろ かづな)。気の向く侭に繁華街を徘徊する一匹狼のストリートギャングだ。
 高校は1年生で中退。
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