オリジナル

□彼岸花
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優はいつものようにお気に入りの場所の一つである喫茶店に入った
チリンと可愛らしい鈴の音が鳴った店内は昔ながらの雰囲気であり、レコードの音楽が静かな店内に響いていた
「いらっしゃい」
40代ほどのマスターが笑顔で優を迎えた
「サンドイッチとコーヒー」
優がカウンターに座りボーッとしていると優の服がくいっくいっと突然引っ張られた
「え?…君は…」
「ゆきちゃんじゃないかー」
優の服を引っ張っていたのは黒髪を腰まで伸ばしたゴスロリ服を着た少女だった
優が困っているとマスターが少女の名を呼び、席を勧めた
少女・ゆきはコクリと頷くと静かに優の横に座った
マスターは「久しぶりー」や「元気だったー?」などとゆきに言っていたがゆきは無反応だった
(この子…目に光がない)
優はふとゆきを観察した
ゆきは何にも興味を示さず、ただ真っ直ぐ目の前を見つめていた
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