夢桜
□第13話
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「藤姫…」
風間達の住む屋敷に藤華は居座っていた
そして藤華は窓の外に半分身体を出して煙管を吹かしながら壁に寄りかかり座っていた
「なんの用だ風間千景…私は今機嫌が悪い」
「貴様の機嫌など知らん…何故俺の邪魔をする」
「邪魔はしていない…だが、しつこい男は嫌われるぞ…雪村千鶴にまた断られたのであろう(妖笑」
ニヤリと笑った顔で見てきたが、風間は舌打ちしかでなかった
「そんなに女鬼を求めるなら知り合いの者に頼んでやろう…あいつには娘がいたな」
風間は「くだらん」と一言言い捨てると部屋を出ていった
「くだらん…か……所詮愛も友情もくだらないものだ…」
素敵な名前ね
嘘をつくな…お前の方が綺麗な名前ではないか
そうかしら?私の名前は私だけの名前じゃないもの…貴女が羨ましいわ
それは貴女だけの名前なんだもの
……藤姫
え?
今日からそれがお前だけの…お前を表す名前だ
藤姫…ありがとう藤華
「ーーーーー」
声に出した名前は風と煙と共に消えてしまった