今日は風が強いですねー。ガタガタと揺れる窓から外を眺めながら、骸がたまたま目に入った女子高生を見つめる。
ひらひらと揺れるスカートを押さえながら道を歩くその姿に、分かりますよその気持ち!なんて言うものだから隣にいた獄寺のテンションも一気に下がる。
普通ならわかんねえよなあ、俺ら男だし。あっけらかんと返す山本の意見はごもっともだ。


「スカート穿かないんですか?変わってますねぇ山本武は…」
「え、俺?俺が変わってんのか?」
「ド変態の相手すんな。今だけはお前の味方になってやる。」

2対1は卑怯ですよ。ムッとし、立ち上がった骸がクローゼットからセーラー服を取り出す。
本当、この部屋にはろくなものがねえな。山積みの本以外にあるのはこういったコスプレ類の衣装や復讐者で購入した違法機器など。まあそれでもこの閉鎖された空間が何故か落ち着くので、獄寺や山本が骸の部屋へ来るのは珍しい事ではないが。


「君も一度着てみなさい。結構ストレス解消になりますから。」
「なるかー?」
「やめとけ。人生の汚点になる。」
「何ですか獄寺隼人は。君だって以前、沢田綱吉から貰ったナース服を自慢してたくせに。」
「あれは十代目の前専用なんだよ!テメーみたいな軽々しい女装と一緒にすんじゃねー!」
「聞き捨てなりませんね…君達の事を思い、僕の美脚をタダで披露していると言うのに!」
「はあ!?大根足!」
「君なんかただのゴボウ足でしょう!色気のかけらもない!沢田綱吉がガッカリする足ナンバーワンの持ち主ですね!」
「てめえええ!」

何だか白熱してんのな。
一人取り残された山本が骸のセーラー服を手に取る。俺はチャイナ服が好きなんだけどなー。ぽろっと放った一言に、そんな事はどーだって良いんだよ!と返されてしまえば他には何も言えない。
結局、この二人は相手より何かが劣っていたりするのが嫌なだけなのだ。
そしてそれが今、足という訳で。

「横綱!」
「ミイラ!」
「ムチムチ野郎!」
「ガリガリくん!」

両者一歩も譲らぬ戦い。(負けず嫌いだから。)
聞いてる側からすれば子供かよという感じだが本人達は至って真剣だ。
うるさい怒鳴り声が響き渡るのに、あーどうしようかなと思っていた矢先の事。背筋に寒気が走り、山本が思わず立ち上がって部屋の隅へ逃げる。
はっ、とそれに気が付いた獄寺と骸も慌てて逃げ出そうとするが、その瞬間には既に部屋の扉は粉々に粉砕されていた。


「お前ら、いい加減にしろよ。」

チッと舌打ちをしながら現れた綱吉に、申し訳ございませんでしたーー!と獄寺が土下座をする。
キンキン響いてうるせえんだよ。そう言いながら投げ付けられた盗聴の受信器に骸が部屋中をぐるりと見渡した。(今度はどこに仕掛けてるんだ…)


「静かにしてろ。そんなに鳴きたいなら俺の部屋に来い。」
「本当にすいませんでした十代目!」
「すいません…つい熱くなってしまい…」
「ごめんツナ…」

いや、盗聴してた方が悪くないか?というツッコミはもちろん通用しない。
分かれば良い。くっと喉を鳴らし、背中を向けた綱吉が何かを思い出したかのように再び振り向く。
ちなみに俺はな。



「尻フェチだ。」


その次は腰だろ。ハハハと無駄に爽やかな笑いを浮かべながら去って行った綱吉に、骸ががっくりと肩を落とした。
そうか尻と腰か!目を輝かせ、これからは美尻とくびれの時代だと叫ぶ獄寺が筋トレするぞ!と一人で張り切っている。


「あー…俺は尻の次に足が好きだから。」
「同情するなら足を1番にして下さい!!」


無駄な争いだったのか。(大丈夫、美脚に変わりはないんだから。)




























+++++

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ