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□永遠に、さよなら
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「結婚することになった」
もうすぐ日が暮れる。二人が住む部屋の窓からも、残りわずかな陽の光が差し込んで。共に暮らし始めた時に買ったマグカップや、ヒバードを象った置物。そして嫌がる雲雀を宥めて撮ったツーショットの写真。二人を繋ぐ思い出の品々を、暖かなオレンジ色が染める。そんな穏やかな時をぶち壊したのは、ディーノのその一言だった。
「…何?そんな冗談で僕が笑わないことくらい知ってるよね」
雲雀は数時間ほど前から己の武器を丹念に磨いている。ずっとそちらに集中していたが、ここでようやく顔を上げてディーノを見た。
「冗談なんかじゃない、本当の話だ」
「…は」
「今度新たにうちのファミリーと同盟を組むことになったファミリーがあるんだ。親睦を深めるために、って…どうしても断れきれなかった」
「…」
ディーノのいつもと違う余裕のない表情に、雲雀はそれが真の話だと感じ取る。と同時に、彼の視線は再び戻された。
「恭弥、オレ―」
「それで?」
「!」
「貴方は何がしたいの。どうしたいの?」
横顔からでもわかる、雲雀の眉間に寄ったしわ。ディーノは彼を腕の中に強引におさめて、重々しく言う。
「恭弥、オレと行こう」
「行く?何処へ」
「わからない。けどオレはお前と一緒に行きたい」
「ファミリーを捨てて?」
「それでも構わねぇ」
「ワォ、愚かしい考えだね」
「恭弥」
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