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□敬え!老人の日
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「あらボス、珍しいわね」
溜まっていた仕事も一段落つき、大広間にて休息をとろうとドアを開けたら、入口付近にルッスーリアが立っていた。いつものように小指を上に向けて。
「…」
ザンザスが返答しかねていると、そっとしておいてくれれば良いものを、ただでさえ近い距離をグッと更に近づけて、ルッスーリアは彼に詰め寄った。
「そういえばボス、今日は何の日かご存知かしら?」
「ボスの日か。プレゼントなら要らねぇ」
「違うわよ」
間髪入れないツッコミに、ザンザスは元からの眉間のしわを更に深く刻ませてしかめっ面をする。
「…何の日だ」
「オホホ!今日はジャッポーネでいうところの"敬老の日"らしいわよ」
「ぶはっ、ジジイを血祭りにあげる日か!」
「だから違うわよボス。わざと言ってるの?」
「…」
「…」
はぁ、と額に手をあて溜め息を漏らすルッスーリア。ザンザスにはそれが馬鹿にされているようでたまらない。例のコオォォで灰にならないうちに、ルッスーリアは努めて神経を逆撫でしないよう教えてやった。
「敬老の日っていうのはね、ご老人を敬い感謝の意を示す日らしいわ」
「敬う…」
「そ、だからボスも九代目に何か贈り物をして差し上げたら?きっと喜ぶわよ」
「贈り物…その場合―」
「ボス、見返りを求めちゃダメよ?」
ルッスーリアのため息は止まることがなかった。
「おい、カス」
「う"お"っ、急に話しかけんな!」
珍しく任務なしの一日だったスクアーロ。だが突如現れたザンザスに肩をビクッと震わせた。
「カス。てめぇに質問だ」
「お、おう」
「…今日何が欲しいのか言ってみろ」
「今日!?」
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