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□3月13日の悲劇
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「死ねカスが」
「う"っ!」
まただ。また殴られた。いつもの事だから、まぁ仕方ない。だけど何だ。今日はよく殴られる。
3月13日の悲劇
「大丈夫、スクアーロ」
「!マーモン」
スクアーロが殴られた跡に湿布を貼っていると、マーモンが彼の膝の上に乗っかってきた。
「また殴られたの?」
「まぁな…」
「うししっ。でも今日はなんか、いつにも増してひどくない?」
ベルはスクアーロから背を向けていた体を、ぐるんと回転した。
「確かに…今日は意味もなくたくさん殴られたぜ」
痛む頬をさすりながら言うスクアーロ。毎度のことだから慣れてしまったが、そんな自分が哀しくて仕方ないと思うのが本音であった
「ボスに何かしたの?」
「う"お"ぉい!いつだって何かされてもすることはねぇぞぉ!」
「え?何かされる?」
「ナニをされた?」
「なっ、何だ!?」
途端にスクアーロの額に妙な汗が。何か思い当たる節があるのか。
「別に隠さなくていいし」
「!?」
スクアーロの動揺ぶりを、ベルはしらっとした表情で言った。
「いつも夜にボスの部屋の前を通ると誰かさんの喘ぎ声が聞こえるんだよな」
「!」
みるみるスクアーロの顔が朱く染まってゆく。
「なんだ、そういう事か。噂には聞いてたけど、本当にヤってたんだね君達」
赤ん坊のくせに冷静なマーモン。可愛い顔して、中身はオジサン並だということは、周知のことだ。
「あーいや、その」
スクアーロが必死で何か言い訳を考えていると、突然バン、と広間の扉が派手に開放された。というより、あまりの激しさに半ば壊れかかっている。
「!?」
「なに?」
「…」
扉を蹴り破って入って来たのはザンザスで、つかつかとスクアーロの座るソファまで歩み寄ってくる。
「う"お"ぉい…何だ?」
「…」
「…なんか言えよぉ」
「なんか」
「違ぇよ…全然上手くねぇよボス」
「うるせぇ、あと…あと一回だ」
「は?」
「あと一回で"年の数だけ殴っちゃおう!ドカスの誕生日祝い"が完成する」
「…」
「えー…」
「あ、そういえば今日スクアーロの誕生日じゃん」
「だからか」
スクアーロ以外の面子は、わざとらしく手の上に拳をポン、と置いて納得してみせた。
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