□『去年の木』
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「ここに立ってた木は、どこへいったの。」

と小鳥は根っこにききました。

 根っこは、

「きこりが斧でうちたおして、谷のほうへもっていっちゃったよ。」

といいました。

 小鳥は谷のほうへとんでいきました。

 谷の底には大きな工場があって、木をきる音が、びィんびィん、としていました。

 小鳥は工場の門の上にとまって、
「門さん、わたしのなかよしの木は、どうなったか知りませんか。」

とききました。

 門は、

「木なら、工場の中でこまかくきりきざまれて、マッチになってあっちの村へ売られていったよ。」

といいました。
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