□きじのお使い
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そこで大神は、さっそくその菩比神をおくだしになりました。

 ところが菩比神は(ほひのかみ)、下界へつくと、それなり大国主神の手下になってしまって、三年たっても、大空へはなんのご返事もいたしませんでした。

 それで大神と高皇産霊神とは、またおおぜいの神々をお召しになって、

「菩比神がまだ帰ってこないが、こんどはだれをやったらよいであろう」

と、おたずねになりました。

 思金神は、「それでは、天津国玉神の子の、天若日子(あめのわかひこ)がよろしゅうございましょう」と、お答え申しました。

 大神はその言葉に従って、天若日子にりっぱな弓と矢をお授けになって、それを持たせて下界へおくだしになりました。

 するとその若日子は大空にちゃんとほんとうのお嫁があるのに、下へおり着くといっしょに、大国主神の娘の下照比売(したてるひめ)をまたお嫁にもらったばかりか、ゆくゆくは水穂国を自分が取ってしまおうという腹で、とうとう八年たっても大神の方へはてんでご返事にも帰りませんでした。

 大神と高皇産霊神とは、また神々をお集めになって、

「二度めにつかわした天若日子もまたとうとう帰ってこない。いったいどうしてこんなにいつまでも下界にいるのか、それを責めただしてこさせたいと思うが、だれをやったものであろう」とお聞きになりました。
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