□醜い家鴨の子
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「グワッ、グワッってお言い。」
と、母親が教えました。
するとみんな一生懸命、グワッ、グワッと真似をして、それから、あたりの青い大きな葉を見廻すのでした。
「まあ、世界ってずいぶん広いもんだねえ。」
と、子家鴨達は、今まで卵の殻に住んでいた時よりも、あたりがぐっとひろびろしているのを見て驚いて言いました。
すると母親は、
「何だね、お前達これだけが全世界だと思ってるのかい。まあそんな事はあっちのお庭を見てからお言いよ。何しろ牧師さんの畑の方まで続いてるって事だからね。だが、私だってまだそんな先きの方までは行った事がないがね。では、もうみんな揃ったろうね。」
と、言いかけて、
「おや! 一番大きいのがまだ割れないでるよ。まあ一体いつまで待たせるんだろうねえ、飽き飽きしちまった。」
そう言って、それでもまた母親は巣に坐りなおしたのでした。
「今日は。御子様はどうかね。」
そう言いながら年とった家鴨がやって来ました。
「今ねえ、あと一つの卵がまだかえらないんですよ。」
と、親家鴨は答えました。
「でもまあ他の子達を見てやって下さい。ずいぶんきりょう好しばかりでしょう? みんあ父親そっくりじゃありませんか。不親切で、ちっとも私達を見に帰って来ない父親ですがね。」
するとおばあさん家鴨が、
「どれ私にその割れない卵を見せて御覧。きっとそりゃ七面鳥の卵だよ。私もいつか頼まれてそんなのをかえした事があるけど、出て来た子達はみんな、どんなに気を揉んで直そうとしても、どうしても水を恐がって仕方がなかった。私あ、うんとガアガア言ってやったけど、からっきし駄目! 何としても水に入れさせる事が出来ないのさ。まあもっとよく見せてさ、うん、うん、こりゃあ間違いなし、七面鳥の卵だよ。悪いことは言わないから、そこに放ったらかしときなさい。そいで早く他の子達に泳ぎでも教えた方がいいよ。」