□むかでの室、へびの室
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一
この大国主神には、八十神といって、何十人というほどの、おおぜいのごきょうだいがおありになりました。
その八十神たちは、因幡の国に、八上媛という美しい女の人がいると聞き、みんなてんでんに、自分のお嫁にもらおうと思って、一同でつれだって、はるばる因幡へ出かけて行きました。
みんなは、大国主神が、おとなしいかたなのをよいことにして、このかたをお供の代わりに使って、袋を背おわせてついて来させました。
そして、因幡の気多という海岸まで来ますと、そこに毛のないあか裸のうさぎが、地べたにころがって、苦しそうにからだじゅうで息をしておりました。
八十神たちはそれを見ると、
「おいうさぎよ。おまえからだに毛がはやしたければ、この海の潮につかって、高い山の上で風に吹かれて寝ておれ。そうすれば、すぐに毛がいっぱいはえるよ」
とからかいました。
うさぎはそれをほんとうにして、さっそく海につかって、ずぶぬれになって、よちよちと山へのぼって、そのまま寝ころんでおりました。
するとその潮水がかわくにつれて、からだじゅうの皮がひきつれて、びりびり裂け破れました。