□女神の死
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一
世界ができたそもそものはじめ。
まず天と地とができあがりますと、それといっしょにわれわれ日本人のいちばんご先祖の、天御中主神とおっしゃる神さまが、天の上の高天原というところへお生まれになりました。
そのつぎには高皇産霊神(たかみむすびのかみ)、神産霊神(かみむすびのかみ)のお二方がお生まれになりました。
そのときには、天も地もまだしっかり固まりきらないで、両方とも、ただ油を浮かしたように、とろとろになって、くらげのように、ふわりふわりと浮かんでおりました。
その中へ、ちょうどあしの芽がはえ出るように、二人の神さまがお生まれになりました。
それからまたお二人、そのつぎには男神女神とお二人ずつ、八人の神さまが、つぎつぎにお生まれになった後に、伊弉諾神(いざなぎのかみ)と伊弉冉神(いざなみのかみ)とおっしゃる男神女神がお生まれになりました。
天御中主神はこのお二方の神さまをお召しになって、
「あの、ふわふわしている地を固めて、日本の国を作りあげよ」
とおっしゃって、りっぱな矛を一ふりお授けになりました。