□うし飼、うま飼
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王は、そんなにして、とうとう夜があけるまで歌い争っておひきあげになりました。
そして、お宮へお帰りになるとすぐに、お兄上の意富祁王とご相談なさいました。
志毘はひとりでつけあがって、われわれをもまるで踏みつけている。
われわれのお宮に仕えている者も、朝はお宮へ来るけれど、それからさきは昼じゅう志毘の家に集まってこびいっている。
あんなやつは後々のために早く討ち亡してしまわなければいけない。
志毘は今ごろは疲れて寝入っているにちがいない。
門には番人もいまい、襲うのは今だとお二人でご決心になりました。
そしてすぐに軍勢を集めて志毘の家をお取り囲みになり、目あての志毘を難なく切り殺しておしまいになりました。