□うし飼、うま飼
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王はすかさず、
「潮の流れの上の、波の荒いところにしびが泳いでいる。しびのそばにはしびの妻がついている。ばかなしびよ」
とお歌いになりました。
そうすると志毘はむっと怒って、
「王のゆったしばがきなぞは、いかに堅固にゆいまわしてあろうとも、おれがたちまち切り破って見せる。焼き払って見せてやる」
と歌いました。
王はどこまでも負けないで、
「あはは、しびよ。そちは魚だ。いかにいばっても、そちを突きに来る海人にはかなうまい。そんなにこわいものがいては悲しかろう」
とお歌いになりました。