□とんぼのお歌
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天皇は、

「無礼なやつめ。おのれが家をわしのお宮に似せて作っている」

とお怒りになり、「行ってあの家を焼きはらって来い」

とおっしゃって、すぐに人をおつかわしになりました。

 すると大県主はすっかりおそれいってしまいました。

「実は、おろかな私どものことでございますので、ついなんにも存じませんで、うっかりこしらえましたものでございます」

と言って、縮みあがってお申しわけをしました。

そして、そのおわびの印に、一ぴきの白いぬにぬのを着せ、鈴の飾りをつけて、それを身内の者の一人の、腰佩という者に綱で引かせて、天皇に献上いたしました。

 それで天皇も、そのうちをお焼きはらいになることだけは許しておやりになり、そのまま若日下王のおうちへお着きになりました。
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