□赤い盾、黒い盾
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二
天皇はついで大毘古命を北陸道へ、その子の建沼河別命を東山道へ、そのほか強い人を方々へお遣しになって、ご命令に従わない、多くの悪者どもをご征伐になりました。
大毘古命はおおせをかしこまって出て行きましたが、途中で、山城の幣羅坂というところへさしかかりますと、その坂の上に腰ぬのばかりを身につけた小娘が立っていて、
これこれ申し天子さま、
あなたをお殺し申そうと、
前の戸に、
裏の戸に、
行ったり来たり、
すきを狙っている者が、
そこにいるとも知らないで、
これこれ申し天子さま。
と、こんなことを歌いました。