□赤い盾、黒い盾
4ページ/6ページ

       二

 天皇はついで大毘古命を北陸道へ、その子の建沼河別命を東山道へ、そのほか強い人を方々へお遣しになって、ご命令に従わない、多くの悪者どもをご征伐になりました。

 大毘古命はおおせをかしこまって出て行きましたが、途中で、山城の幣羅坂というところへさしかかりますと、その坂の上に腰ぬのばかりを身につけた小娘が立っていて、

  これこれ申し天子さま、
  あなたをお殺し申そうと、
  前の戸に、
  裏の戸に、
  行ったり来たり、
  すきを狙っている者が、
  そこにいるとも知らないで、
  これこれ申し天子さま。

  と、こんなことを歌いました。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ