□赤い盾、黒い盾
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媛はその糸の伝わっている方へずんずん行って見ますと、糸はしまいに、三輪山のお社にはいって止まっていました。
それで、はじめて、お婿さんは大物主神でいらしったことがわかりました。
大多根子はこのお二人の間に生まれた子の四代目の孫でした。
天皇は、さっそくこの大多根子を三輪の社の神主にして、大物主神のお祭りをおさせになりました。
それといっしょに、お供えものを入れるかわらけをどっさり作らせて、大空の神々や下界の多くの神々をおまつりになりました。
その中のある神さまには、とくに赤色の盾や黒塗の盾をおあげになりました。
そのほか、山の神さまや川の瀬の神さまにいたるまで、いちいちもれなくお供えものをおあげになって、ていちょうにお祭りをなさいました。
そのために、やく病はやがてすっかりとまって、天下はやっと安らかになりました。