□第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
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第一の道程をミラボーと共にし、第二の道程をロベスピエールと共にし、第三の道程をボナパルトと共にして、今は疲れ果てている。

だれも寝床を求めているのである。

 疲れたる献身と、老いたる勇壮と、遂げられたる野心と、得られたる幸運とが、さがし求め願い欲するところのものは何であるか。

それは身を休むべき場所である。

そして今やそれが得られている。

平和と静穏と閑暇とが得られている。

欠けたものは更にない。

けれどもまたそれと同時に、他のある若干の事実が現われてきて、承認を求め、扉をたたく。

それらの事実は革命と戦役とから生まれ、存在し、生存し、社会のうちに地位を占むる権利を有し、また実際地位を占めている。

それはおおむね住居と給養とをつかさどるものであって、ただすべての主義をして安住せしむるの準備をなすのみである。

 かくして政治的思索家の目に現われ来るものは次のことである。

 疲れたる人間が休息を求むると同時に、遂げられたる事実は保証を求むる。

事実の保証は、人間の休息と同一事である。

 摂政(クロンウェル)の後にイギリスがスチェアート家に求めたところのものはそれであり、帝政の後にフランスがブールボン家に求めたところのものはそれである。

 それらの保証は時代が必要とするところのものである。

りっぱに与えてやらなければならないものである。

君主たる者がそれらを

「欽定する」。

しかし実際それらを与うる者は事物必然の力である。

これは深き真理であり、知って有益なる真理である。


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