DMC

□つい、
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ぱたん、と扉の閉まる音がする。
2階の兄の部屋が閉まった音だ。
弟のダンテはというと、兄、バージルが去ったあとの目の前のテーブルを見つめていた。

「…………これ…」

1階で本を読んでいたバージルの忘れ物。
――――…バージル愛用の眼鏡。

「掛けてみっか………」

バージルの全てを知りたい。バージルと全てを共有したい。
それは恋人ならではの願い。
そう願うならば、しないわけにはいかないだろう!とダンテはテーブルね上に静かに鎮座していた眼鏡を手に取り、目を閉じたまま掛けてみる。

「―――…?!」

目を開けると、がつんと頭を殴られたかのように頭痛がした。
だが、周りには人はおろか、虫一匹さえいない。
ダンテは瞬時に理解できなかったようで、眉間にしわを寄せた。
度が半端なく合っていなかったのだろう。
半魔ともあろう者が立ちくらみに似た症状を引き起こしている。
―――と、そこへ忘れ物に気づいたバージルが一階へと下りてきた。

「何をしている。」

ふらふらと自分に向かってくるダンテに対して吐き捨てると、ダンテはバージルに問う。

「なぁ、バージル…。これ…なのかな…。頭ぐわんぐわんするんだけど…。」

「(俺の眼鏡!)かえせ!」



すっ、と外してバージルに眼鏡を手渡すと、それと同時にダンテいわく「頭ぐわんぐわん」は止まった。

「あれ?まじかよ。」

「…度が合っていないんだろ。お前は目が良いからな。」

そうか、とだけ言ってからダンテはソファーに寝そべった。
すでに瞼が落ちてくる寸前になる。

「あー、頭痛かった。次からはぜってー挑戦しねえ。」

そんなダンテを見てからバージルは自室へと向かう。



【つい、】



くすっ、と笑い声が階段から聞こえてきたのは秘密。




(良い夢を見ろよ、ダンテ。)





20091018 ナミオトカノン

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