□Shine and Shadow
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 全く逆のようで、実は同じなのかもしれない

 相反するそのふたつ。





「君は光だね」

 僕の突然の言葉に、君はこっちを向く。
 大して驚いてはないようだ。僕が唐突に何かを言うのは今に始まった事じゃないから。

「ね、君は『光』」
「……何故だ?」
「だってそうでしょ?」

 君は皆が認める男であり、越えるべき目標でもある。皆の信頼を寄せてコートに立つ、青学テニス部の光なんだ。
 ……そして、

「…そして僕はその影」

 何処までも黒くて、誰の事も受け入れない。君に纏わり付いて離れないもの。
 いや、離れられないんだ。
 僕は影であるから僕である。僕でいるには影でいるしかない。
 手塚をそっと抱きしめる。
 どんなに抱き合っても混ざり合う事は出来ないと、知ってるけど。
 今まで黙ったままだった手塚が、僕の腕の中で微かに動いた。

「…………か」
「? 何?」

 聞き取れなかったその言葉をもう一度訊き返す。僕の胸元に居る手塚、その視線はとても遠くを見ているようだった。

「……それを嬉しいと思う俺は、おかしいのだろうか」
「手……」
「俺が光でお前が影なら…永遠に一緒だろう?」

 片方が存在しなければ、もう片方も存在しない。
 何て排他的な理想の世界。
 ふたつは相入れず、永遠に触れ合う事は出来ないけれど―――。

「……どうしてそんなに残酷で嬉しい事を言うの?」
「…不二………」

 絡めていた腕を音もなく離した。それでも僕達は離れてはない。
 君が向いた方を僕は向く。例え絶望に向いたって。まるで、当然のように。
 君が消えたなら、僕も同時に足元から消えて行くんだろう。

「帰ろっか」
「…ああ」

 そして光と影は、今日も共に行く。
 互いにそれが運命だと知りながら。





       END

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