剣
□硝子
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君は今何をその瞳に映して、
何を思ってるの?
僕にはわからないよ。
君があんまり真っ直ぐ前を見つめ過ぎるから―――……
「失礼します」
僕がガラッと音を立てて職員室の扉を開けたのは、昼休み。手には竜崎先生に渡すよう頼まれた部活の資料。
手塚も大石も忙しいらしいし……何より、手塚の頼みを引き受けない訳にはいかないからね。
「竜崎先生は……」
辺りを軽く見渡すけど先生の姿は見当たらない。通り掛かった先生が僕に気付いて言った。
「竜崎先生は今いらっしゃらないみたいだけど……」
「そうですか、じゃあこれ机の上に置いて行きます」
「ええ、伝えておくわね」
ホチキスでとめてある数枚の紙を先生の机の上に置く。
その時ふと、同じように机上にあった茶封筒に気が付いた。
―――瞬間、僕の目はその封筒に釘付けになった。
そこには、僕のよく知っている人の名前が書かれていたから。
《手塚国光君》
(…え………?)
心臓がドクンと唸る。
何かを告げるように。
もうそこまで迫って来ている何かを。それでも見て見ぬ振りをして来た何かを、告げるように。
「……………」
僕はその封筒にそっと手を伸ばした。
(……まさか………)
見るな。
(まさかね……)
見ちゃ、だめだ。
パラ…
「……―――、」