記念

□例えばこんな世界の誕生日
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未知に広がるパラレルワールド。


僕達の未来は…幾つもの可能性を秘めている。







(例えばこんな世界の誕生日)





僕在る世界。



これは、無理な残業を止め、昨日の虚襲撃に勝利した12月20日。





僕達の日常は変わらず歩みを進める。



今日は、浮竹や総隊長などに菓子を押し付けられ、執務室に着けば机がプレゼントだらけになっているという…


嬉しいようで迷惑な1日だ。




はぁ、と溜め息をつけば…




「日番谷くん、おめでとう!!」





ふわりと現れた愛しの彼女。



この声だけは…俺に幸せを溢れさせる。




「何がおめでとうなんだ?書類の量でも少ないのか?」





気付けばわざとらしく知らんぷりをする俺がいて。



雛森は、もぉ、と腕を組んだ。





「乱菊さんからプレゼントいっぱい貰ってること聞いてるんだから。意味…わかるでしょぉ?」




そんな姿に思わずクスリと笑みが漏れる。




なんて可愛い奴なんだ。



瞬歩で雛森に近付いて、至近距離で藍色の瞳を見詰めた。




「…桃のプレゼントは…楽しみにしてんだけど。」





そう伝えれば、彼女は嬉しそうに微笑むと知っているから。




「…嬉しぃ。」





ほら、な。




照れ隠しのようにギュッと胸に顔を埋められて…返すように抱き締める。



こんな何気ない時間が俺にとって一番の幸福。





「…夜、プレゼント用意して、お部屋で…待ってるからね…。」





胸元から聴こえた声に、ありがとうと頭を撫でて。




楽しみにしてる、と付け足せば…唇に温もり。




「…大好きだよ。」




パタパタと走り去って行く背中に、知ってる、と呟いた。





あの様子だと、今日は甘い夜を期待していいんだろう。







甘えん坊な彼女を感じる僕在る世界
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