記念
□今日も明日も明後日も
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暦に浮かぶ赤丸印。
あれからどのくらいの月日がたったのだろうか。
…まぁ、関係ねぇか。
俺らはいつまでも変わらないのだから。
(今日も明日も明後日も)
12月17日。
赤丸印の下に丸っこい字で書かれた"結婚記念日"の文字。
楽しみにしてたんだろうな…。
今日ばかりは残業の原因…己の副官を恨んでしまう。
桃は…先に寝ちまったんだろう。
小さな溜め息を消え入りそうな中で漏らし、風呂場へと向かった。
「…あ。」
死覇衣を脱いでいる途中に見つけたもの。
「…悪賢くなったもんだ。」
ガラリ。
わざと音をたてて扉を開く。
勿論桃の肩がひくりと動いたのは見逃さずに。
「…ただいま、雛森。…遅くなって悪かったな。」
布団に潜っていた温もりからひょっこり頭。
「…ふふ、お久しぶりです、日番谷くん♪」
さぁ、もう違和感に気付いただろう。
12月17日は語呂合わせでひつひなの日というらしい。
どうしてもこの日に結婚したいと騒いだ雛森曰く、
『この日は私が雛森から日番谷に変わる日なんだもん。シロちゃんと出会った証が欲しいんだよ!』
らしい。
そんなこんなでこの日だけはどうしても昔に戻ってルールが出されるのだ。
「良く覚えてたね。」
「俺が…雛森との約束破る訳ねぇだろ?」
ニヤリと笑って、雛森を見やる。
「…勿論。信じてるよ?」
「当たり前だ。」
確信的に笑う桃にくらり。
流石に冬の寒さは体にこたえたらしいと身震いしと誤魔化し、それを理由に素早く桃の隣に入った。