短編

□私と貴方の生存条件
1ページ/4ページ




冷たいものが頬を伝った。




あれ、これは何?



雨かしら。



ううん、違う。




多分これは私の涙。




生憎の雨模様。









(私と彼の生存条件。)









突然鳴り響いた電話は…みょうに私の背筋を氷つかせた。




「…はぃ、井上です。」






何故か悪寒がするのに違和感を覚えて。




異常な緊張感で受話器をとる。





淡々と聞こえるのは相手の人の声。





その後には…受話器をぼとり。




気が付いた時には…体が勝手に病院へと駆け出していた。










『とにかく急いで来てくれ。』




電話の相手は黒崎くんのお父さんで。





…彼は…、車に跳ねられたそうだ。





現在も意識不明。




私に理解出来たのはここまで。





後は無我夢中に走っただけ。




次に我にかえった時には…黒崎くんの病室の前だった。







「…っ!!」



「あっ、織姫ちゃん。」





「…ぁっ…あの…黒崎くんは…無事なんですか!?」







黒崎くんの枕元で踞るかりんちゃんとゆずちゃんをちらりと確認し、一心さんに恐る恐る尋ねる。





「それが…さ、…。」



ゴクンと生唾を飲み込み。




「…一護は…。」



ぎゅっと目を瞑って。




「…その…。」




掌を願うように絡ませた。





…お願い、神様…。

…どうか…私の大切な人を…奪わないで…。








「…っ…、…だったんだ。」


「ふぇ?」


耳をぴんと立てた。


「一護が…ケチャップ…だったんだ。」



「えぇぇぇぇぇ!!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ