短編
□守りたいから、君を
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君は僕の身よりも大切で…
誰よりも大切で…
宝物なんて言葉じゃ表わせない存在なんだ。
(守りたいから、君を…)
「…やっぱ1人で非番っつ〜のも物足りねぇな…。」
十番隊隊長日番谷冬獅郎は大きなあくびをひとつして、桃の木の下に広がる花畑に寝転んだ。
数日前…
「シロちゃん!今度の非番一緒にしたんだぁ!」
無邪気に日番谷に笑いかける五番隊隊長雛森桃。
藍染の反乱から100年がすぎ、雛森は隊長へと就任した。
元々鬼道の達人であった雛森は天才児と騒がれた日番谷同様、颯爽と卍解を修得し、賛成多数で隊長となったのだ。
それでも相変わらず変わらぬ雛森に日番谷は少しの安易を覚えていた。
「しょうがねーなー。どこ行くんだよ。」
ぶっきらぼうな返事をする日番谷。
しかし、雛森は全てを読み取ったかのようにふわりと微笑み…。
「甘味処♪じゃあね!!」
そう嬉しそうにスキップをしながら隊舎へと戻る雛森。
日番谷はその背中に頬を緩ませ、隊舎へと戻っていった…。
そんな約束をしてから何処と無くご機嫌であった。
が、今日の朝目覚めると…、
視界に写ったのは愛しい雛森ではなく、一匹の地獄蝶であったのだ。
耳に入ったのは心安らぐ雛森の声で…。
「」ごめんね。日番谷くん…。急に現世で任務が入っちゃって…午後には帰るからね!」
成長をとげた隊長としてのたくましい伝言であった。
「桃…大丈夫…だよな。」
ほんの小さな任務でも、隊長となった雛森を心配してしまうなんて…。
俺…べた惚れしてんだななんてと自分自身に苦笑する。
そんな中…気がついたのは愛しき雛森の乱れた霊圧。
「雛森っ…!!」
素早く体を起こした日番谷は、瞬歩で雛森のもとへと向かった…。
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