短編
□私と貴方の生存条件
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それと同時に聞こえたかりんちゃんとゆずちゃんの笑い声。
「…はははっ…聞いてょ、織姫ちゃん…一兄が引かれたのは確かなんだけど。」
「本当は軽くぶつかっただけなんです。」
二人は顔を見合せまたふふっ、と笑って。
「それで倒れた拍子に買ってきたケチャップが破裂して。」
「お兄ちゃんはそれを自分の血だと思って気絶したそうなんです。」
お騒がせしました、と二人が頭を下げた。
そこで、話を整理して。
あぁ、良かった…。
自然と涙は瞳を降りて。
黒崎くんのお父さんの温もりが微かに私の頭を撫でる。
「これからもうちの馬鹿息子を宜しく頼むよ。」
そう言って病室を後にした三人。
ガラリと扉が封鎖され二人だけの空間に入れば、私は思いっきり黒崎くんの入るベットに飛び付いた。
「…黒崎くん!!…、…無事で…よかっ…た…。」
私の頬を伝う止まない雨に、顔まで布団を被っていた彼がひょこりと頭を出す。
「かっこわりぃ…彼氏でさ、…、ごめんな?」