愛玩少女

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 一言で言えば今日の夕食は大成功だった。温かくまた皆で一つのものを突く事を目的とする鍋は今の少女達にとってうってつけの献立だったようで、にこやかな雰囲気の下綺麗に平らげていた。足りなくなってしまわないだろうかとも思ったけれど、絶え間無く話を続ける彼女達には取るに足らない問題だったらしい。文句の一つもなく夕食が終わり、今皆本は一人で後片付けをしていた。
 今少女達は食後のデザートを楽しんでいる。皆本も誘われたが、それを辞退して洗い物に勤しんでいた。
 あの中にいられるわけがないと思った。少なくともいろはについて強い疑問を持つ今は一緒にいられない。その手首の痣は、兵部とはどんな関係なんだ――そんな事を問い詰めてしまいそうで。皆本は自分の手に視線を落とした。
 手の中の泡は白く、まるであの笑顔そのものだ。あの純潔さを描けばきっとこの泡のように白く、また新雪のように汚れを知らないのだろう――そこまで考えて、その透明さをあの男にも抱いたのだとふと思い出した。ただ、あの男は狂気という点での話だ。透き通る深い水の底を現したような瞳に映った狂気。絶対に渡さない、彼が口走ったその言葉がどうにも引っ掛かる。
(もしその言葉通りなら、あの手首の痣は――)
 そんな、幾ら何でもまさか。水が途切れる事を止めてから少し経った時だった。


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