愛玩少女

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 全ての始まりは七年前の夜だった。
 その日は今夜のように綺麗な満月で、ほんの僅かの間僕はバベルを抜け出していた。誤解しないで欲しいがもちろん理由はあった――その頃、超度を問わずエスパーが何人か誘拐される事件が起きていたためだ。それは小さな、しかし至極過激な反エスパー団体の仕業だった。
 話を聞けばどうやら仲間のエスパーも捕まってしまったらしく、丁度不二子さんも寝ていたから変わらぬ求心のためにもと一肌脱いだというのが真相だ。
「……まったく、ノーマルは無粋だな。こんな満月の夜に」
 空に近付いて見る月は自分にとって珍しいものではない。けれど久々の満月は僕をおかしくさせてしまったらしい――気持ちが昂っていくのをどうにも止められそうになかった。
 どんな風に殺してやろうかと考えすらしていた。エスパーを陥れるためならどんな酷いことをしても構わないと考えるような団体だったから――ああ、その団体は残念ながら今は存在しないよ皆本。何故なら僕がその日壊滅させたからだ。
 それほどあいつらは目に余ることをしでかそうとしていたんだ。今思い出しても本当に気分が悪くなる――だから出来るなら、この子が忘れてくれていることを祈るよ。
 


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