INZM

□もう、会えない
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オレは、ずっとお前と一緒だった。

笑ってるときも、泣いてる時も…
サッカーやってる時も…。

いつも士郎はヘラヘラ笑ってて。
オレが不貞腐れた様な態度をとると
すぐにシュンとなって。

そんなアイツが大好きだった。

でも…

オレの存在が帰って

「じゃあ、二人そろえば完璧って事だな」

アイツを苦しめていたと言うのなら
オレは……

居ないほうが良かったのかもしれない…

無理してクスッと笑う士郎。

平気なんかじゃないのに。
本当は苦しいのに。
オレはアイツを苦しめてるのに…

「お前が消えれば良いんだよ」

そんな事まで言ってしまった。

ごめんなさい、なんて素直に謝れるわけでもなくて。
アイツは泣きそうな顔をしていて。

いつも楽しんでいた筈なのに、
思い出すアイツの顔はいつも……

士郎…いや、

「兄貴」

心の中で呟く。届くはずも無い声を。

オレはもう死んでるから、
もう二度とオマエには会えないけど…

けれども………

――幸せになれよ、バカ兄貴…
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