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□今日も僕は、幸せです。
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みんなは、「幸せ」ってひとくくりに言われると、どんな光景を想像するだろうか。
沢山のお金を手に入れること。
美味しいお菓子に囲まれること。
健康で居られること。
いろいろなことを連想するのだろう。
でも、オレは最近思うんだ。
一緒に居る仲間。
それも…幸せに入るんじゃないかって。
当たり前の様に傍に居て。
当たり前の様に笑ってくれて。
当たり前の様に馬鹿な話題で盛り上がる。
そんな「当たり前の事」にも、立派な価値があるんじゃないか。
中学生が考えるような内容じゃないし、上手くいえないけれど、オレは今、幸せです。

「半田?どしたの?」

ホラ、今も仲間…否、大切な人、松野空介の声がする。
オレが道に迷うと、手を差し伸べてくれて。
オレが悩んで、落ち込んでいると、黙って傍に来てくれて。
ほっといてくれよって怒鳴っても、何も言わないで、ただただ抱きしめてくれて。
泣いていると、「大丈夫だよ」って、オレを安心させてくれる。
大切な人。
その存在があるから、今オレは此処に存在している。

「…や、何かね」

「ふふっ、変なのーっ」

ホラ、君がまた笑う。
大好きで、大切な君が笑ってくれる。
オレは、そんな姿が見れるだけで十分です。
中学生に「愛」を語るのは、まだまだ早いかもしれないけれど。
この気持ちは「愛」と軽々しく形容してはならない物かもしれないけれど。
傍に居てくれる大切な人。
いつも笑ってオレを受け止めてくれる仲間。
そんな奴らが居るから…。
おれは、自分が「幸せ」と胸を張って言い切れるんだ。
いつか脆く崩れてしまうものだとしても。
オレは「今」を信じているから。
だから。
だからこそ。
今日も僕は、幸せです。
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