INZM

□真っ白な、君と僕だけの世界。
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真っ白。
つまり、何の色も無い。
ピンクも、黄色も、水色も。
黒すらない。
純白の、ヴェールに包まれた――嘘で塗り固められた、幻想のような世界。

「マックス」

白いTシャツに、青のジーンズを身に着けた半田が走ってくる。
ふわふわとした、真っ白な笑い方。
少し前の彼からは、考えられなかった笑い方だ。
頭の上の二つのアホ毛が、ぴょこんと跳ねる。
そんな仕草でさえも、愛しく感じる。

「マックスー?」

きょとんと首を傾げる。
半田は元々可愛らしい顔立ちをしている。
そんな仕草が相俟って、更に可愛く見えた。

「あぁ、ごめんごめん」

そう言ってボクは、半田のふわふわとした髪の毛を、混ぜるようにくしゃりと撫でる。
半田は気持ち良さそうに目を細めて、へにゃりと笑った。
そう、こんな姿はボクにしか見せてくれない。
ボクは、半田を変えた。
いつまでもふわふわとしてて、甘えんぼさんな半田に変えた。

「マックスー」

理由も無くそう言って、半田はふんわりと笑う。

「だぁいすきっ」

屈託の無い、真っ白な微笑を見せてくれる半田。
もちろん、ボクがそうする様に教えた。
半田の人格は、ボロボロに崩れているから。
そこから好きなようにカスタマイズするのは、とても簡単だった。

「うん。ボクも半田のこと――」

半田は永遠に、ボクの物だからね。

「――大好きだよ」

えへへ、と二人で笑う。
きっと、神様がいるとしたら、こんなのは許されない行為に値すると思う。
でも、許されなくても良い。
ボクの横で、ずぅっと。
ずぅっと、半田は笑ってくれるから。
ボクの為だけに、永遠にね…。
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