LOMの別主小説
□【頂き物】彼、恋愛中
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やがて深奥にたどり着き、でかい猿の魔物を倒した俺達。
「真珠!どこ行ってた!」
「ごめんなさい、瑠璃くん。ごめんなさい」
物陰から姿を現した白いドレスの幼い少女に、容赦なく怒声を浴びせる彼。可哀想に、なんて思うのは少しだけ。だって君は、彼の心の殆どを埋めて居るんだろう?狡いよ。
「まぁまぁ瑠璃。良いじゃない、見付かったんだし」
「煩い。お前は黙ってろ」
俺達のやり取りに、少女が不思議そうな視線を向けてくる。
「瑠璃くん、この人だあれ?」
「…お前を探すのを手伝ってくれた、変な奴だ」
変な奴、ときたか。ちょっと傷付いたなぁ。
けれど俺は笑顔で、少女に声を掛ける。
「センカだよ。よろしく」
「センカ、おにいさま…」
俺の笑顔が本物じゃないって、少女は気付いているのだろうか?
「ありがとうございました、センカおにいさま」
ああ、その無垢な笑顔を汚してやりたい。なんて醜い嫉妬。いつの間に俺の中にそんなものが生まれたのだろう。
「帰るぞ。真珠」
「まって、瑠璃くん。…あの、おにいさま、本当にありがとうございました」
「良いって。俺が勝手に手伝っただけだから」