LOMの別主小説

□【頂き物】Ready?
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振り抜いた二本一対の短剣は、しかし浅く相手を傷付けただたけだった。反撃に襲ってきた相手の拳をバックステップで避ける。厄介なことに、少々何敵らしい。
相手の長いリーチに、一欠の短剣は不利だ。――だからといって退くつもりは無いが。

「おい、」
「何」
「矢を飛ばせ」
「無理。たぶん私の力じゃ、傷付けることは出来ない」

魔物の固い皮膚を見て、一欠は再び舌打ち。確かに自分の不意をついた筈の攻撃も、深くは決まらなかった。

「でも、少し待ってて」
「……?」

詩音の言葉に疑問符を浮かべていると、やがて聴こえてきたのは澄んだフルートの音色。

「応えて、ウィル・オ・ウィスプ……ティンクルストーム!」

詩音の歌うような声と共に、沸き上がる光の嵐。魔物を巻き込んで、怯ませる。

「……行って」

その言葉に従うまでもなかった。一欠は躊躇わずに光の中へ飛び込み、光の渦に翻弄されている魔物の体を縦横無尽に斬りつけた。バチン、とまた弓を張る音が聞こえて、一欠の付けた傷口に矢が刺さった。一本、また一本。一欠の斬撃と詩音の矢に、魔物は呆気なく沈んだ。

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