頂き物絵&小説

□【頂き物】ひぐらし×コナン
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 蘭が控え目に声をかけるが、赤坂は何か躊躇うように視線をさ迷わせた。
「……?どうかされましたか?」
「いえ、出来れば、子供達にはあまり聞かせたくない話になりますので」
 赤坂の言葉に英里ははっとして、即座に蘭に子供達を連れ出す様に指示を出す。勿論その中にはコナンや哀、高校生の快斗や園子、和葉も含まれているのだが、コナンも快斗も出ようとはしなかった。
 コナンは蘭に向かっていつものように子供らしい笑みを浮かべ、
「ボクは大丈夫だよ。ね、平次兄ちゃん?」
平次に助け舟を求める。平次も慌てて取り繕った笑顔を作りわしゃわしゃとコナンの頭を掻き回した。
「ん、ああ!こん坊主は意外に気ぃ付くトコあるから同席させたってや」
「でも……」
「なぁに!ビビってチビらん様にトイレまで行ったるさかい、安心しぃや!」
 バーロー、と睨め付けるコナンを物ともせず、平次は蘭の背中を押すと応接間の扉をバタンと閉めた。
 足音が遠ざかるのを確認してから、白馬はさて、と赤坂に向き直る。
「詳しくお聞かせ頂けますか?」
 赤坂は特にコナンの存在を気にしていたが、コナンの目に宿る強い意志に漸くこくりと頷く。
 聞こえる音は僅かだ。
 虫が羽を擦らし奏でる調べ。
 誰かの吐息。
 時計の秒針。
 静かな部屋の中で彼の声もまた静かに、重く響いた。
「少女の名は、古手梨花。当時はまだ小学生でしたが、古手神社の当主で『オヤシロ様の生まれ変わり』と呼ばれていました。……ですが」
「殺された、と?」
「ええ」
 赤坂はまた一つ頷く。
 そして次に、あまりに衝撃的な一言を吐き出した。


「生きたまま、腹を裂かれて殺されていました」


 どれぐらい時間が経ったろうか。
 数秒か、数分か。
 いずれにしろ、理解するまでと理解してから脳が起動するまでに、大分時間がかかったのは確かだ。
「古手神社の境内で、鋭利な刃物で腸を引きずり出され、裸体で死んでいたそうです。身体の数箇所に擦り傷はあったそうですが、睡眠薬等を投与された形跡はありませんでした。つまり……」
「…………ッ!!!」
 あまりの凄惨さに、英里が口元を押さえた。
 弁護士と言えども一人娘を持つ親だ。
 娘よりも小さな女の子が残忍に殺されたと聞いて、何の反応もない程無情にはなれない。
 吐き気というより怒りや悲しみが勝った苦渋の表情に、小五郎はさりげなく英里の背中をさする。
 赤坂は彼等二人を見た後、コナンを見た。動揺はしているが、英里程ではない。
 服部や白馬も流石というか、込み上げる不快さを表には出さなかった。
 赤坂はじっとコナンを見つめ、暫し少考したがやがて夏美に向き直る。
 

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