遥か高く!

□prologue
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『それでは、新郎新婦のなれそめをご覧ください。』
司会の言葉と同時に斜め前のプロジェクターに俺たちの生まれた時からの写真が映し出される。
…あぁあんな事もあったな。お、あれは理樹と初めて遊んだ後の写真か。
そんな風に写真を見ながら俺−棗恭介は昔を思い出していた。
 初めに鈴と二人でリトルバスターズを作り、真人、謙吾、理樹と仲間になり二人だったリトルバスターズは5人になった。
 それから高校に入学し、5人だった仲間は10人になった。今まで以上に騒がしくも楽しい日々を過ごし、毎日がとても楽しかった。もちろん楽しいだけではなかった。あの忌まわしい修学旅行。全員が死亡しても、おかしくなかったあの事故で、なぜ俺たちは助かったのか今もはっきりした事は分からない。
けど、あれは理樹と鈴が数々の苦難を乗り越えた末に起こした奇跡だと俺は思っている。確証はないが何故かそんな気がするんだ。
そんな事を考えていた俺は横から来た指を避けることが出来なかった。
「イテッ」
思いっきり頬をつねられる。
「こらっ痛えって」
「なに、ボーとしてるのかなぁ?」
「悪かった!おれが悪かったから離してくれ!」
だんだん力が入ってきてマジで痛い。
「まったく」
そういって離してくれたがマジで痛かった。まだジンジンするぞ。
「恭介がボーっとしてるのが悪いんだよ」
「だからってつねることないだろ」
「呼んでも叩いても反応なかったんてすけど?」
「……マジで?」
「マジ」
どんだけ物思いに耽ってたんだ俺…
「もうすぐ私達の出会いの辺りなのに」
その言葉通りプロジェクターには俺たちが初めて出会った時の写真が映されていた。
…あの時の俺は、こいつと結婚するなんて思ってもいなかっただろうな
「あ、またボーっとしてる」
「違う、違う。ちょっと俺たちの出会いを思い出してただけだ」
そう、あれは確かこいつが外国から転入してきてからだったな……
 

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