Silver

□白昼夢
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頭が、ついて行かない。
今の言葉は本当に発せられていたのか。都合のいい幻聴ではなかったのか――そもそもこれは夢ではないのか。
だが、与えられている温もりは本物だ。
そんな事を暫く考えていたら、近藤が苦笑していた。
「信じてないみたいだな」
「……だって」
信じろって方が無理と、拗ねたように土方は俯く。
「いいから、信じろよ。俺はお前が好きだ」
「……近藤さん」
目の前で、一番好きな人に告白されているという、この事実。相変わらず信じがたいが、近藤はこんな冗談を言う男ではない。
「じゃあ」
一つ、提案をしてみる。
「俺が口付けたいと言っても、アンタは受け入れてくれるか?」
馬鹿な事を――そう思いつつも、顔を近付けていく。顔が真っ赤なのも、心臓が高鳴っているのも承知で。
「――当たり前だろ」
耳元で囁かれたと思えば、顎を引き寄せられる。
「……っ!」
そのまま、唇を塞がれた。
それはすぐに離れたが、土方の熱を高めるには充分だった。
「……アンタ、な……」
「お前がやるって言ったんだろ」
「そう、だけど……」
「なら……いいじゃねーか」
「……っ!」
――ビクリ。
耳元で囁かれる低い声に、土方は身体を震わせた。



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