Gold

□序曲
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初めてアイツを見たのは、いつの事だったか。
やたらと喧嘩っ早いホストが居る、とは聞いていた。
それに気に食わないからと、洗礼をする、と言う話も。

帰っている時に、襲う事になっていた。
そいつはいつも単独で行動しているらしい。現に、その日も一人だった。
「ちょっと待てよ、土方サン」
仲間の一人が、そいつを呼び止めた。名を土方と言うらしい。
土方は怪訝そうに振り返って、俺達を睨んだ。
初めて目にしたその顔は、男にしてはやけに美しく見えた。
跳ねた黒髪、整った顔立ち、鋭い目に開いた瞳孔。綺麗なのだが、やはり近寄りがたい雰囲気が滲み出てしる。
「…何だ、テメー等」
その声は、酷く低い。
「溝鼠組…って知ってっか?俺達はそこの組員よ」
「…ああ」
土方は薄く笑い、吐き捨てた。
「井の中の蛙の事か」
信じられない。どうやったら、この大人数相手にそんな態度を取れるのだろうか。まさか、自分がどうなるか解っていない筈ではないだろう。
「言うじゃねーか。ますます気に食わねえ」
「元より、ヤクザなんかに気に入られようとは思ってねーよ」
「いちいち苛立つ野郎だな…まあいい、刃向かったらどうなるのか、これから解らせてやるよ」



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