Silver

□結末は何処
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ふと目にした時計は、十二時を指していた。
時間か。土方はぼそりと呟き、布団から這い出た。
向かった先は、隣の局長室。つまりは、近藤の部屋だ。
「近藤さん」
上に跨り、耳元で名を囁いても起きる気配はない。
耳朶から額、鼻筋、そして唇へと口付けていく。早く起きてくれと、願いながら。
「ん…」
近藤の身体が小さく動いた。ゆっくりと、瞼が開く。
「…トシ?」
「やっと起きたか」
「……何しに来た」
「夜這い…なんてな」
顔は笑っていても、目は獣の光を持っている。本気だ――本能でそう感じ取れた。
「な、何を…」
「今日、何日か覚えてるか?」
「…九月、四日だろ?」
答えてから、理解が出来た。今日は、自分が生まれた日だ。
「俺の全部をくれてやるよ」
「…正気か…!?」
「勿論」
言うなり、土方は身に纏っていた衣服を脱ぎ捨てた。微かな明かりに照らされて、白い肌が美しく浮き上がる。
「ちょっ、考え直せって…!」
「…んだよ、アンタは…俺を、求めちゃくれねぇのか…?」
「そう言う訳じゃ…」
「なら、抱いてくれよ。今日は加減もしなくていい…好きなようにしてくれていいんだ」



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