Silver

□不夜城
1ページ/5ページ


部屋中を見渡しても、男の姿は一向に見当たらない。
はあ、と土方は熱い溜息を吐いた。いつになれば、あの人は帰って来るのだろうか。いつになれば、あの人は自分を解放してくれるだろうか。
土方は今、一糸纏わぬ身で拘束されていた。片手ずつにかけられた手錠はベッドの柱に繋げられ、首には大型犬用の首輪をつけられている。首輪から伸びる鎖は持つ人が不在なため、床に落ちていた。
その上、後ろでは玩具を銜えさせられている。厭らしく身体をくねられながら揺れるそれに、土方は幾度となく絶頂を迎え、その度に自分の腹を汚した。
こんた状態が、もう一ヶ月続いていた。早い話が、監禁だ。
理由は、小さなことだった。愛されているから。ただ、それだけだ。だから、土方も納得はしていた。これがあの人の愛ならば受け止めるまで、と。
しかしそれが長く続けば、流石の土方も精神が保たなくなってきた。一週間で目は輝きを失い、次の週には殆ど喋らなくなった。言葉を発する気力すらがないのだろう。
そして一ヶ月目の今日、土方は笑顔を失った。笑おうとしても、顔がひきつって笑えない。それどころか、涙が出る程に苦しくなった。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ