Silver

□無意味な調教
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そう、それは確か一昨日の事。
無防備なのが災いして、土方――否、トッシーが攘夷志士に犯されかけていたのは。
それを近藤が助け、何度も叱った――はず、だった。

「トーシー?」
「…ごめんなさい…」
なのに、今日もまた同じ目に合わされていた。
見回り中に見失ったかと思えば、路地裏で数人の男達に襲われていたのだ。
「用心しろって何度言えば…!」
「ごめんなさい…もう次はないからぁ…」
今は、半ば無理矢理に屯所へと連れ帰っている道の途中。
右手を捕まれ、許しを乞う土方の姿は端から見れば奇妙だ。
「…なあトシ。前の約束覚えてるか?」
「約束…?」
何の事だと首を傾げる土方に、近藤はわざと笑顔を作った。
「次にあったらお仕置きするって」
「え……」
その一言で、土方からは血の気が引いていった。
思えば、そんな事を言っていた気がする。
「い、や…」
「お前の場合、そうでもしないと言う事聞かないからな」
「嫌ぁああ!!」
必死に逃げようとしたのも無駄になり、近くの路地へと引きずられていった。

暗い路地裏には、人の姿はない。
後ろ向きに壁に押しつけられた土方は、恐怖に怯えきっていた。
「嫌ぁ…お願い、許してぇ…」



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