Silver

□別人格でも同じ人3
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日が沈み、隊士達が寝静まると、約束通り土方は近藤の部屋にやって来た。
いつもとは違い、少し頬を染めて。
「…近藤、氏…」
「どうした?」
ハッキリとしないその様子に聞き返せば、余計赤くなって呟く。
「いや…なんか、その…恥ずかしいって、言うか…」
自分から抱いて貰った事のない、“今”の土方にとっては、確かに恥じらう気持ちもあるのかもしれない。
それが新鮮で、思わず食い入るように見つめてしまう。
「…んなに、見ないでよ…」
「え?…あ、ああ…悪い」
そうは言われても、普段の土方ならこんな表情はする筈もなく(自分から襲ってくる位だし)、目を逸らそうにも逸らせない。
暫く見つめていた所で、ある疑問が思い浮かんできた。
「…お前、本当にいいのか?」
「へ?」
「いや…だって、前はあんなに嫌がってたのに…」
「そ…それは、いきなりだったからでござるよ!って言うか無理矢理されたから…!」
正直に答える土方に、呟きを一つ。
「……絶対根に持ってただろ、それ」
「あっ…し、しまった…!そんな事は…!」
急いで前言を撤回しようとする土方の手を引き、抱き寄せれば、漸く口を噤んだ。



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