Silver

□別人格でも同じ人2
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あんな事(「別人格でも〜」参照)があって以来、近藤は土方――否、トッシーとは距離を置くようになっていた。
「近藤氏ー!」
今日もまた、廊下で土方が抱きつこうと駆け寄るのを無視して、歩を進める。
「待ってよ近藤氏!」
いくら呼んでも立ち止まる気配のない近藤を、それでもまだしつこく追い掛ける。
「近藤氏ってばぁ!何で避けるでござるかー!」
一向に振り向きそうにないのを見て、土方はわなわなと肩を震わせた。
「…んなに、僕が…」
「…は?」
明らかに様子が変わったのを感じ、思わず近藤は振り返った。
「そんなに僕が嫌いか、近藤氏!」
「なっ!?」
「僕は…こんなにも君を愛してると言うのに…そんなに鬱陶しいの!?」
「や、トシ、これは違う…」
いくら弁解しようと、土方は聞こうとしない。
目に溜まった滴が、今にも零れ落ちそうだった。
「もういいよ…近藤氏の馬鹿!」
「ちょっ…トシ!!」
叫びながら、土方はきびすを返して走り出した。
その様子があまりにも可愛くて、ボーッと見ていたのも束の間――すぐに、追いかけた。
が、案外早く土方は捕まった。



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