Silver

□別人格でも同じ人
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伊東による謀反で起こった内乱が静まり、真選組はかつての活気を取り戻しつつあった。
だがしかし、土方の呪いは一向に解ける様子はなかった。
「なあ、トシ…」
「どうかしたか、近藤氏」
溜息を吐く近藤の視線は、正面に座る土方ではない誰か――“妖刀”に注がれていた。
「…お前、いつまでそうやっているつもりだ?」
「どう言う…」
「いつまで取り憑いてるつもりなんだ」
「…ああ」
合点がいった、と言うように土方は頷いた。
「僕の事か」
「まだ、呪いを解く気はないようだな」
「まあ、一生解ける事はないんじゃないかな」
「…まるで他人事だな」
「僕はアイツであってアイツでない。だから他人事と言うわけでもないんだけど」
「そのわりには言い方が適当だった気がするんだが」
「気のせいだろう」
明らかに態とと解る口調が、確かに土方の面影を思わせた。
ただ、外見も土方とは幾分か違う。少し目も大きく、瞳孔も開いていない。



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