Silver

□全ては余興
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『近藤さっ…あっ…!』
耳を澄ますと、近くの部屋で行われているであろう情事の音が聞こえてくる。
その甘ったるい嬌声は、己が宿敵と認めている男のもので。
――恥ずかしくないのか。それとも、聞こえていると気付いてないのか。
恐らく、他の隊士にも聞こえているのだろう。土方が恐くて言えないだけであって。
『――っ!』
悲鳴にも近い絶頂を迎えた声を聞き取ると、伊東は溜息を吐いた。
別に、珍しい事ではない。むしろほぼ毎日の事だ。
飽きないものだなと、心の底で嘲笑った。

「土方」
「あ?」
廊下で呼び止めると、怪訝そうに、いや不機嫌そうに土方は振り返った。
「お前も案外物好きなものだな」
「何の話だ」
「よくもまあ、男相手に足を広げていられるね」
「!?」



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