【小説】
□ツェリザカ
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ドオォッ!
小気味いい反動と、巨大なリコイル。500S&W弾がマズルから排出され、化け物の肩を抉った。
体がぐら付き左手が床に落ちた。血が止め処なく溢れる。
脳が腕をなくしてしまったと理化して、無意味に激痛を発生させる。
「ああああああああああああああああっ!」
脳神経が焼き切れる寸前でも、男は前に進んだ。
さすがの貴族でも、都一の呪術師が対鬼用呪式で洗礼した銀弾芯の50口径は効いたようだ。なかなか止血できないでいる。
同じ赤い血を流して悶えている、化け物の凶暴な銃火器の機関部を打ち抜いた。
男の50口径はパフォーマンスセンターのようにマズルが加工されているため、リコイルは激しくない。
もう一度ハンマーを起こして、化け物の額に銃口を押し付け、トリガーを絞り、貴族の頭部が血色の肉華を咲かせ、舞い散る。
男の顎に強烈なアッパーカットが決まった。
そして己の視線が勝手に天井を向いて、意識が閉じてゆく。