儚き旅路
□偽造家族3
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《偽造家族》
その日の夕方だった。
はしゃぎ過ぎて疲れてしまった瀬維也は屋敷に着くなり部屋で休んでしまった。
それを期に部下からの報告を受けていた木馬は二人に判った事を報告した。
瀬維也の住んでいた所は童実野町より車で最低8時間は走らなければならない距離があり、昨日城之内が瀬維也と出会った少し前に住んでいた家の近くで両親が交通事故で死んでいたという事だった。
「警察の方に問い合わせてみたら、親戚は母親の弟夫婦だけなんだって。セーヤには捜索願いが出てて、連絡して今ゲストルームに居る。」
「判った。俺と城之内は話をするから木馬は瀬維也の側に居てくれ。昨日と同じ事になると後々大変だからな」
「うん、判った」
木馬は心配そうにしていたが、瀬維也の事があるので渋々と頷いた。
「なぁ、俺が残った方が良かったんじゃねぇ?」
「一日とはいえ母親をやっていたんだ話をする権利はある。木馬の様子からして弟夫婦はあまりいい人間とは言えない可能性が強い。いざとなれば、俺が引き取る。それに瀬維也の不可思議な能力の事もある。おそらく引き取る事になるだろうがな」
「そっか………。そん時は俺も協力するから?」
「籍入れて本当の夫婦になるか?」
「それは考えさせて?」
海馬は冗談のつもりで言ったのだが城之内は本気で取ったらしい。