あさき 歌詞解釈

□あさき 歌詞解釈(神曲 1st Album)
1ページ/10ページ

{秘密其ノ一}

それらは概ね、あの子の帰りを待つわたくしどもが、

デタラメに歌う弔い歌と共に飾った風車でありますゆえ・・・。

マァ、「虚飾は最上級」とでも申しますか・・・あはは、うふふ。

くるくるクルクルくるクル来る来る繰る繰るくるりん

廻る風車

嗚呼、また帰ってきた。

 「お帰りなさい」

{秘密其ノ二}

尾のない赤い目をした子犬が帰ってきた彼に問う。

 「それは羽かしらん?」 と。

 「ほうき星に導かれてここまで帰ってきたんだ」

風車は折れた。

{アノ子何処の子}

人気がなく霊ばかり彷徨うこの地、恐山で僕は産声を上げました。

いつもカタカタと風車は廻っていた。

神棚の前で、母様は声にならない声をあげ、泣き、爪をかじっていた。

母様は帰依なのだとおっしゃっていた。

 「残月にお祈り」 母様はいう。

 「寄らば大樹の陰だね!」 守ってくれてるのはお月さまなのだと思い、言った

 「そう(笑)。誰よりもずっと優しくされたいのでしょう?」

僕の言葉の使い方に母様はくすりと笑った

夜になると千の目が僕を見張る。 怖くて怖くて、泣きながら毎日月にお祈りした。

本当は生きていられない筈の僕を生かす為に、母は毎日祈り、

僕にまじないを懸けた。僕の頭に、「帰依」であるこの地の人だけに見える羽がはえる。

其の代償は地獄であるのだと。

 『君が』

 「綺麗ナー。」 と母は見てくれた。

ひらひら ひらひら 千枚羽

相変わらず唄を歌う。弔いの唄なのか。でも声になっていないよ、母様。

ふと、千の目に見られたときのような悪寒と耳鳴りが、僕らを襲う。

その時、母様の頭からズルリと、何かが伸びた。

 「少しでも長く、お前がここに居られるのなら」

母は笑っていた。

高い月へと、樹が伸びる。その樹は母である。

月へと伸びていく母を追いかけて泣き叫ぶ僕の後ろで、風車は静かに揺れていた。

風車がカラカラと音をたてて廻る。

母の微笑みだけを残して。

赤い月に消えていく母を呼ぶ。

僕は母が歌っていた唄を歌った。咽がかれるほど。

幼き歌声を聞いた母親の涙は一つ、また一つ星のなっていくのである。

強くねぇ・・。そう高く背伸びしたよお月サマ。

母様の所へ行きたいんだ。

そして生まれる筈がなかった僕はその契約どおり狩られる。

祈りと願いの代償、空へと落ちていく。

 『アラマァ、お帰りなさい。』

ハネハハエマシタ?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ