甘い夢と蜜の夢
□ハートフル
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「どれ、体温計見せてください…」
骸ちゃんにお姫様抱っこをされて、登校中の生徒(女子)に冷ややかな目をされて、意外にも弾力のいい保健室のベッドに横になった。
ピピっと鳴る体温計を抜くとそこには38.6度の文字が。
「…こんな高熱を出して…どうして学校に来たんですか!一歩間違えれば死にますよ!」
『あはは、死ぬなんて大袈裟だよ…』
「いいえ。風邪で死人が出た例は沢山あるんですよ。甘くみてはいけません」
『そう。あ、ありがとう』
いつも穏やかな骸ちゃんに怒られながら無理して笑ってみる。
差し出された氷枕の上に頭を置けばヒンヤリと気持ちいい。
「…ったく、なんでこういう時に限ってあのヤブ医者が居ないんですか…まあ、いい。少し休んでください。家までお送りしますから」
『え、いいよ。授業出なよ!一人で帰る…ってゆーか今日はダメだよ…』
「何がダメなんですか?」
『…だって約束したじゃん。今日委員のポスター書くって。骸ちゃんにだけ書かせたくないし』
あれ、なんだろう。
熱のせいかな…。
自分でもこんな素直に気持ちを言えるなんて。
いつも強がっちゃうのに…。
「………馬鹿ですか君は。自分の身体とポスターどっちが大切なんですか」
でも、やっぱりダメだ。
この気持ちは言えないよ。
『…ね、もう授業始まってるんだよ?もう行きなよ。それに私ばっかに構ってると他の女の子から骸ちゃんが睨まれるよ』
「別に、君以外には興味ありませんからかまいません。僕が何故こんなくだらない学校に毎日、来てると思ってるんですか」
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