玩具友達

□いつもと違う
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紅く濡れた舌で、己の唇を辿るように舐める。

囚われた駿輔は、その舌先から眼を離せないまま、まるで自分を舐め尽くされるような感覚に陥る。

ただ視線だけで、知己は駿輔を誘う。

が、それを悟らせない。

あくまでも誘ったのは奴。俺はそれに乗っただけ。

それが更なる征服欲を呼び覚ます。


「お前、そんなヤラシい目で俺を誘ってるのか?」
口端をくいっと挙げ、見下ろす様に、視線を投げると、駿輔はふるりとひとつ震えた。

獲物を狙った視線のまま、吐息がかかるまで顔を寄せれば、洩れた吐息が甘く彩られる。

「…さ…そって…な……い…」
その声は掠れ、喘ぐように息までも上手くでくないでいる。

駿輔の唇は、紅く熟れ、いやらしく濡れている。


ただそれだけなのに、駿輔の中心は熱を持ち、頭をもたげていく。

この目前の肉食獣に、骨まで食い尽くされるのを待っている自分。
それから逃げたい自分。

その正反対の感情がぶつかり合い、軽い目眩を覚えた。

だが、本当は、首元に噛み付かれる瞬間を待っているのだ。
そんな自分を想像して、背中を走る痺れる。


食い付くすようなキスは、そんな彼を更なる高揚へと連れていくものだった。


触れる箇所から痺れを伴い、感覚を麻痺させ、ただ、与えられる熱だけを追いかけさせる。

それは、思った以上に心地よく、駿輔の思考を奪うには充分過ぎた。



上手く呼吸が出来ない息苦しさの中で、只、与えられる熱に溺れる。









遠くで昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。が、ふたりはその行為を止める気配はなかった。









歯を割って侵入する知己の舌が、駿輔の息をも吸い尽くすように蠢く。

合間に感じる、はぁ、という駿輔の甘い吐息を舌先で感じながら、己も夢中になっているのに気が付く。

ぴちゃり、と互いの唾液が混ざり合う音を聴きながら、駿輔の中心が熱を帯び、頭をもたげ始める。

触れていない筈のそこが、燃えるように熱くなり、先から雫を流しているのまで感じる。

「…ン…はぁ…」
鼻から洩れる吐息は、快楽へ従順に追い詰め、それに対し、知己が答えるように、更に深く、口内を蹂躙する。

男とは、何度かセックスをした事はあっても、ここまで昂った事はない。

加え、もっと、と、激しく求めた事もないが、今は駿輔を求める。

もっと感じたい、食らいつくしたい、と。

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