七つの世界のかけら
□第二章
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そう、その男は疑問に思っていたのだ。
ラングルドが、自分の元に来た理由。
この餓鬼の事ではない、それは偶然に過ぎない。
では、何故か?
ラングルドとは旧知の仲だが、わざわざ遠方から訪ねて来る程の仲ではない。
そして、ラングルドが来る前、光輝が最初の暴走の前に、感じた気配。
これは偶然か?
「それは……」
言葉に詰まり、言い淀んだラングルドは、ただ、陛下のご命令と、呟き、この話しにの終わりを告げた。
つまり、命令で来た先には、キーファがおり、偶然で光輝がいた。
さて、それは偶然か、必然か?
「分かった、俺からあの変態に聞きゃーいいんだな」
そして、この話しは完全に終了した。
ふたりの間に妙な空気が流れ、光輝は居心地の悪さを感じた。
ふたりは知り合いだと分かるが、何か訳があるのか、あまり仲は良くないようだ。
―――それを聞いてもいいのかな?
今の空気に馴れず、多少もじもじしながらも、好奇心には勝てず、聞いてみる。
「あの……」
だが、それは続けられる事はなかった。
「着きました、あの水場から移動しましょう」
偶然か、ラングルドがふたりに声をかけ、光輝の問いかけをかき消した。
そこには、薄い緑の色を放つ木々に囲まれ、時折ゆらゆらと太陽の光が届く、まさに清らかな泉だった。
「澄んだ水場でないと、きちんと発動しないんです」と、話ながら、ラングルドは、先程見せてくれた石を投げ入れて。
と、―――
コォっと小さな音と共に、溢れんばかりの七色の光が泉を包み込んだ。
「さぁ、行きましょう。行き先は私が思い浮かべますから、おふたりは何も考えずに光に身を任せてください」
と、身を浸すように、ラングルドは泉に潜り込んだ。
「さ。行くぞ」
と、声をかけ、キーファが後に続く。
「え?」
だが、光輝は多少の戸惑いがある。
光が溢れた瞬間、光輝の心臓は壊れそうな程の鼓動を打った。
息が上手く出来ない息苦しさで、体が強張り、体が思うように動かない。
なんだろう、嫌な感じがする―――
ヒューヒューと、掠れる息が、ますます光輝を追い詰める。
が…
ここに居ても始まらないのは解っている。
軋る関節を無理矢理動かし、光輝は仕方なく、光に身を任せる事にした。
、